正中余剰腔


正中余剰腔には,透明中隔腔,ベルガ腔,脳室間腔が有ります。前者は,在胎3カ月頃形成を始めた脳梁の発達過程で,両側側脳室間が狭くなって細隙状の空間が正中に残ることで形成されます。そして,脳弓によってくびれができ,それを堺に前方の透明中隔腔と後方のベルガ腔とに分けられます。脳室間腔は脳弓脚の分離異常によって生じます。男女差はほとんど有りません。

1.透明中隔腔 cavum septi pellucidi

 これが異常に大きいものを透明中隔嚢胞または第5脳室と呼びます。CTによる発見率は全年齢でみると1〜3%,小児では5〜7%と多くなります。嚢胞は側脳室と交通をもつものを交通性といい,交通のないものを非交通性と言います。

 臨床的意義としては,けいれん発作がベルガ腔との共存例では30〜60%に見られ有意に多いようです。また大きいものほど症状の発現頻度が高くなると言われます。嚢胞化した透明中隔嚢胞では時に水頭症を生じ,頭蓋内圧亢進症状を示すことが知られています。

 診断はCTやMRIで容易です。

 治療は,症状を呈する例では必要になります。交通性嚢胞では脳室・腹腔シャント術を行い,非交通性では嚢胞と側脳室との交通術が必要になります。最近ではCT誘導定位手術や内視鏡による手術が行われたりします。しかし,手術を要するような症例はまれと考えられます。

2.ベルガ腔 cavum vergae

 透明中隔の後方に見られ第6脳室とも呼ばれる。これ単独のこともありますが,多くは透明中隔腔と交通し両方が併存しています。従いまして,発見頻度は透明中隔腔とほぼ同じです。

 臨床的意義も透明中隔腔と同じです。

 診断は,やはりCTやMRIで容易です。

 治療は,これ自体では外科的治療対象とはなりませんが,嚢胞化して水頭症を生じた例で行われることがあります。透明中隔腔と交通していれば透明中隔嚢胞の治療法で良いのですが,独立して嚢胞化している場合には嚢胞腔の切除と側脳室への交通術が必要です。これには,やはりCT誘導定位手術や内視鏡手術が応用されます。

3.脳室間腔 cavum veli interpositi

 新生児・乳児ではまだ残っていますがそれ以後2歳までに急速に縮小し成長と共に消失していきます。

 発見率は,全年齢を通じて1〜5%ですが,2歳以下では多いようです。

 臨床的意義は,ほとんどありませんが髄液循環障害による頭蓋内圧亢進症状を呈した症例報告が有るようです。

 画像診断は,CTやMRIで容易です。