下垂体腺腫


  • 正常脳下垂体
    1. 解剖 
       下垂体はトルコ鞍という長径約1cm 程度の馬の鞍状のくぼみの中に収まっている組織で,体全体のホルモンの調節を司っている中枢です。小さいながらこいつが機能しなくなると人間は生きていけません。イラストでその解剖学的位置を理解して下さい。

    2. 構造
       構造としては,前葉(anterior pituitary)と後葉(posterior pituitary)の2つの部分からなります。

    3. 機能
       種々のホルモンを分泌します。 
    4.  前葉からは,プロラクチン(prolactin),成長ホルモン(GH, growth hormone),ACTH(AdrenoCorticoTropic Hormone),TSH(甲状腺刺激ホルモン,thyroid-stimulating hormone),FSH (卵胞刺激ホルモン,Follicle-stimulating hormone),LH(黄体化ホルモン,luteinizing hormone)が分泌されます。

       後葉からはバゾプレシン(vasopressin,antidiuretic hormone=ADH),オキシトシン(oxytocin)が分泌されます。

  • 下垂体腺腫の基本的事項
  •  前葉細胞由来の腫瘍で本質的には良性腫瘍です。下垂体癌(pituitary  carcinoma)は1%以下です

  • 分類
  •  腺腫のホルモン産生能で分類すると以下の様になります。

      

    ホルモン産生腫瘍 

    (機能性下垂体腺腫)

    Prolactinoma(プロラクチン産生腫瘍)

    GH 産生腫瘍 

    ACTH産生腫瘍 

    TSH産生腫瘍 

    gonadotropin(FSH,LH)産生腫瘍

    40%

    20%

    数%

    ホルモン非産生腫瘍

    (非機能性下垂体腺腫)

    40%


  • 下垂体腺腫の全般的な症状
    1. 局所の圧迫症状 
      下垂体の直ぐ上方には視神経交叉があります。従って,腫瘍が次第に大きくなって視神経を圧迫するようになると視力障害や視野狭窄を生じます。視野狭窄は,いわゆる両耳側半盲といって両眼とも視野の外側(耳側)半分が見えなくなるのです。また,トルコ鞍の蓋になっているところの鞍隔膜という硬膜を下から持ち上げるように圧迫することにより頭痛が起こることもあります。

    2. ホルモン異常による症状
      ホルモンを分泌する腫瘍の場合にはその過剰に分泌されたホルモンによる症状がでますが,ホルモンを分泌しない非機能性腺腫の場合には正常な腺組織がしだいに破壊されますのでホルモンが分泌されなくなりそれによる症状がでできます。すなわち,女性では月経不順,無月経,男性では,インポテンス,性欲の低下,活気がない等です。



  • 頭部単純X線撮影

     トルコ鞍の風船様拡大(ballooning)

     Double floor



  • 頭部CT

     トルコ鞍内に腫瘍を認めます。

     造影効果を認めます。


  • 頭部MRI

     CTと比べて前額断や矢状断の画像が得られ解剖学的に腫瘍の伸展具合を正確に捉えることができます。


  • 治療

     手術